📘 【利用マニュアル】利用者ADLと報酬額の相関分析+グラフ付きツール
(Googleスプレッドシート版・データサイエンス入門)
🌈 1. このツールについて
このツールは、Googleスプレッドシートだけで“データ分析”を体験できるテンプレートです。
クリック操作だけで、以下のような分析・可視化を自動で行えます。
機能 | 内容 |
---|---|
📊 データ統合 | 利用者データ・サービス実績・職員アンケートを1枚にまとめる |
📈 相関分析 | 各項目の関係性(+/-の強さ)を自動計算 |
🧮 回帰分析 | 「どの要因が結果に影響しているか?」を数値で表示 |
🎨 グラフ作成 | 部署ごとのカラー付きヒストグラム・散布図を自動生成 |
難しい関数やAIの知識は不要です。
「分析を体験してみたい」「データを“見える化”したい」方向けの実用テンプレートです。
🗂️ 2. シート構成と内容説明
① データ_利用者
利用者ごとの基本情報が入るシートです。
列名 | 内容 | 例 |
---|---|---|
user_id | 利用者の識別番号 | U0001 |
性別(男=1/女=0) | 男性は1、女性は0 | 1 |
年齢 | 利用者の年齢 | 83 |
介護度(1〜5) | 要介護度 | 3 |
ADL | 日常生活動作スコア(高いほど自立) | 72 |
部署 | 所属サービス(訪問介護・通所介護など) | 通所介護 |
入所年月 | 利用開始年月 | 2025-08 |
👉 ADLが高いほど自立度が高く、介護度が低くなる傾向が見られます。
この数値は、サービスの必要量を判断する重要な指標です。
② データ_サービス
サービス提供実績を月ごとにまとめたシートです。
列名 | 内容 | 例 |
---|---|---|
user_id | 利用者ID | U0001 |
年-月 | 提供月 | 2025-09 |
訪問回数 | 月内の訪問回数 | 14 |
提供分数 | サービス提供時間(分) | 1089 |
単価(円/分) | サービス1分あたりの単価 | 14 |
請求単位数 | 国保連請求単位 | 114 |
請求額(円) | 総請求金額 | 11400 |
👉 「請求額」は、訪問回数 × 提供時間 × 単価 によって変動します。
ここでは「提供実績」と「収益」の関係が見える化されます。
③ データ_職員満足度
職員アンケート結果をまとめたシートです。
列名 | 内容 | 例 |
---|---|---|
respondent_id | 回答者ID(職員) | U0001 |
部署 | 所属部署 | 通所介護 |
ENPS(-100〜100) | 「この職場を勧めたい度」 | 57 |
業務量(1〜5) | 業務量への満足度 | 3 |
人間関係(1〜5) | 人間関係への満足度 | 4 |
評価(1〜5) | 評価制度への納得度 | 3 |
成長(1〜5) | 成長機会への満足度 | 4 |
👉 ENPS(Employee Net Promoter Score)は、
職員が職場を他人に薦めたいかどうかを示すスコアです。
0以上ならポジティブ、マイナスなら要改善のサインです。
④ 分析用データ
上記の3つを統合した「分析用シート」です。
このシートを基に、相関分析やグラフ作成を行います。
主な列 | 説明 |
---|---|
ADL | 利用者の自立度 |
介護度 | 介護の必要度(ADLと逆相関することが多い) |
訪問回数/提供分数 | サービス提供量 |
請求額 | サービスによる収益 |
ENPS・評価・人間関係 | 職員満足度関連データ |
👉ここが「データサイエンスの舞台」です。
複数の要素をまとめて、「どんな関係性があるのか」を分析します。
⑤ 相関分析
分析用データの数値項目同士の「関係の強さ」を計算した表です。
表示例 | 解釈 |
---|---|
0.8 〜 1.0 | 強い正の相関(Aが増えるとBも増える) |
0.3 〜 0.7 | 弱い正の相関 |
-0.3 〜 -0.7 | 弱い負の相関(Aが増えるとBは減る) |
-0.8 〜 -1.0 | 強い負の相関 |
🟧 背景色が濃いほど関係が強いことを示します。
💡 例:ADL と 介護度 が -0.98 の相関 → 「ADLが高いほど介護度が低い」
このように、関係性を“数字で可視化”するのが相関分析です。
⑥ 回帰分析(OLS)
「どの項目が最も請求額に影響しているか?」を数式で表します。
項目 | 意味 | 解釈例 |
---|---|---|
係数 | 各要因が結果に与える影響の大きさ | 介護度が+10なら、介護度が1上がると請求額+10円の傾向 |
標準誤差 | 結果のバラつき(小さいほど信頼性が高い) | |
t値 | 有意性の指標(絶対値が2以上で意味あり) | |
R² | モデルの説明力(1に近いほど精度が高い) |
💬 このシートでは、複数要因を同時に分析するため、
「ADL」「介護度」「部署」「単価」などが
請求額にどの程度影響しているかを一目で確認できます。
⑦ グラフ
自動生成された可視化シートです。
ヒストグラム・散布図・部署別比較がまとめて表示されます。
グラフ種別 | 内容 | 意味 |
---|---|---|
ヒストグラム | ADLスコア分布 | 利用者の自立度のばらつき |
散布図(回帰線つき) | ADL × 請求額 | 自立度と収益の関係 |
部署別ヒストグラム | サービス種別でのADL傾向 | 部署ごとの差異を可視化 |
🎨 部署ごとに色(パステル/カラフル)が自動で設定されます。
パッと見で「どの部署に傾向があるか」がわかります。
📘 3. 数値の見方とポイント
指標 | 意味 | 現場での活用例 |
---|---|---|
ADL | 自立度(高いほど元気) | サービス強度の調整に |
介護度 | 介護必要度 | ケアマネ判断の参考に |
ENPS | 職員推奨度 | 職場改善の指標に |
提供分数 | サービス提供量 | 効率化・稼働分析に |
請求額 | 売上・収益 | 経営判断の基礎データ |
🔍 4. 相関関係の理解
相関とは「Aが増えるとBも増える/減る」という“関係性”のこと。
例えば:
- ADL と 介護度 → 負の相関(逆関係)
→ 自立度が上がると介護度は下がる - 提供分数 と 請求額 → 正の相関
→ 提供量が多いほど請求額が上がる - ENPS と 請求額 → 弱い正の相関
→ 職員の満足度が高いと収益も安定する傾向
💡 注意:
「相関がある」=「原因がある」ではありません。
ただし、傾向を見つけて改善のヒントにするには非常に有効です。
🧭 5. よくある質問(FAQ)
Q1. データを消しても大丈夫?
→ 「分析用データ」以外のシートに入力してください。自動で再生成されます。
Q2. 部署を増やしたいときは?
→ 「データ_利用者」や「データ_職員満足度」に新しい部署名を追加するだけでOK。
グラフは自動で色が割り当てられます。
Q3. グラフの色を変えたい
→ スクリプトの DEPT_COLORS
を変更すればOKです。
🪄 6. まとめ
このテンプレートは、「AIを使わないデータサイエンス」を実現します。
現場にある日々のデータを“数字”ではなく“気づき”に変えることが目的です。
📎 ご利用にあたって
必要なファイル関係を無料(サポート含む)でお渡しいたします。ご利用の方は下方にある「お問い合わせ」から送信お願い申し上げます。